「Viet Nam 日誌」
ふくちゃん vol. 3-2

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第1部 Viet Nam 日誌
第3章 慣れはじめたぼく (2)3日目のホーチミン・シティ 

7月11日 金曜日 曇り ホーチミン・シティ

 7:30起床。外は曇っている。この2, 3日、昼間ほとんど歩きまわっているので、結構疲れてる。だから、寝てる間もぜんぜん夢を見ない。気づいたら朝。まあ、疲れてて、あまり気にならないからいいんだけど、ぼくのとまってるホテルの前の建設現場の工事の音が朝も夜も関係なしに聞こえてくる。「ホーチミン・シティはうるさい」というのはほんとうだった。
 お腹がすいてるからとりあえず外へ出よう。うろうろした挙げ句、喫茶店みたいな、レストランみたいな、ちょっとこぎれいな店に入った。
 中は清潔で、外国人(欧米人)の姿も多くみられた。メニューを見るが、なんだかよくわからない。めんどくさいから、店員さんを呼んで「サンドウィッチありますか?」と尋ねてみる。そうしたら、やっぱりちゃんとあった。そりゃそうだ。だってここ、レストランなんだもん。ブレックファースト・サンドウィッチとレモンジュースを注文した。

 新聞を読みながら待ってると、最初にSaigonホテルのエレベータで一緒になった、めちゃめちゃかわいいイタリア娘が入ってきた。しかも、はげたおっさんと一緒に。「なんだ、親子で来てたのか」と思いながらしばらくながめてると、なんか腕とか触りあいっこはじめ、なんと、いちゃいちゃしだしたのである。

 なんだ、こいつら夫婦だったんだ!

 ここで、ぼくのイタリア娘とのロマンスの夢は、はかなく崩れ去ったのだった(そんな夢、もとからないっ!)。
 失意のまま、朝食を終え、もう少し時間があるので、またAnhの所へ。
 やつはいた。そう、やつはだいたいひまなのだ。また、いち早く彼はぼくをみつける。
「Takashi!」。「やあ」
と声を掛け合い、またぼくは路上に座り込む。するとまた、どこからか、わらわらと仲間が集まってくる。
 でも考えてみれば、Anhのような人生も悪くないのかもな、と思った。満員電車にのることも、職場のストレスもないし。シクロ1台、気ままに暮らしてるという感じ。でもそれは、ぼくが旅行者ではたから見ているだけだからきっとそう見えるんだろう。彼も大変なんだ。
 彼は、今日ぼくはフエに行くことを知ってるから、シクロを勧めない。まあもともと、ぼくはシクロが好きでないということを彼は知ってるから。 その代わり、空港までの足にバイクを勧めてくれた。空港まで3$で行ってくれるという。うん、たしかに安い。「ホテルのタクシーは高いよ」と教えてくれた。でも、ぼくは「荷物がいっぱいあるんだけど」と言うと、「荷物は前のハンドルのところに引っかけるから大丈夫」と言う。ほんとかなあ。でも、Anhがそう言うからまあ大丈夫だろう。そして、このころには、ぼくとAnhとの間にはなんとなくではあるが、信頼関係みたいなものができていた。よし、じゃあ、ぼくまたここに11:00に来るねと言ってホテルに戻った。さあ、チェックアウトだ。

 1-:50。ぼくは約束の10分前にそこへ行った。行くと、またみんな笑って迎えてくれた。「ね、ちゃんときたでしょ」とぼくも腕時計を指差しながら笑ってみせた。 「また、戻ってくるから、そん時みんなでビールを飲もう」というような話をして、ぼくはバイクにまたがった。
 「じゃーね」とみんなに手を振り、バイクは走りだした。

 初めて乗ったバイクタクシーは、想像以上に快適。なんたって、普通のタクシーより断然速い。最初、タンソンニャットに着いた時に乗ったタクシーが、7$で40分くらいかかった。バイクだと時間はだいだい半分くらい。車みたいに「おい、どけっ。ぷーぷー」がない分、速いわけだ。これで3$なら、絶対こっちのほうがお得。旅をしてると、だんだんいろんなことが分かってくる。
 そんなことを考えながらぼくは、入国したタンソンニャット国際空港に到着した。

 ああ、それにしても空港へ早く着きすぎた。今はまだ11:30。フエへの飛行機にフライトは14:35なので、ちょっとたいくつだ。たいくつしのぎに、ちょっと休憩。空港内のカフェにみたいなとこに入る。
 なかには、パンやジュースなどに混じって、カップラーメンがおいてあった。その名も「幸福麺」。カップラーメン好きのぼくとしては、ぜひこれはチェックしておきたいところ。そこで、その「幸福麺」とマンゴージュース(缶ジュース)を注文。値段は、カップラ10,000D、ジュース9,000Dの合計19,000D。でも、哀しいかな今だにヴェトナム語で値段を聞き取ることができない。で、いちいち紙に書いてもらうことになる。でも"19,000"とか書かれるとまだ「どきっ」とする。それでも200円くらいなのに。

 さて、この「幸福麺」。カップの絵を見ると、チャーシューが4枚。その他野菜が豊富、Phoを食べるときに入れる赤いとうがらしみたいなやつまでのってる。すごいなあと思いながら、お湯を入れてもらい、さあ、とふた(ちなみにヴェトナムのカップラーメンのふたは、紙ではなく、お皿を使っていた)を開けてみると、な、なんと

 まったく、具が入ってなかった!

 唯一の具が、グリンピースみたいな豆1こ。その具もぼくは食べなかった。うん、なんとなく。精神的にショックを受けて。麺は細く、スープの味は「出前一丁」と「チキンラーメン」を足して2で割って少し濃くした感じ。本当の話、決してまずくはなかったが、これを食べて、決して「幸福」な気分にはなれなかった(むしろ逆)。ただし、マンゴージュースはなかなかおいしかった。
 そんな幸福麺だが、ちゃんとティッシュペーパーとレンゲ(使い捨てのやつ)がついてた。ヴェトナムの人はスープをおわんから直接すすることをよっぽど嫌うみたいだ。どこに行ってもみんなちゃんとスプーンでスープを飲んでる。日本じゃ最後ごくっと飲むのがごく当たり前なのにね。これも、習慣の違いなんだなあ。

 とりあえず飛行機に乗る手続きをしないと。でも、どうすりゃいいのか、ぜんぜんわからない。14:30のフライトなのに、11:30くらいに手続きをしようとカウンターへ行こうとしたら、その手前にいたおにいちゃんに、指を1本たてられ「あと1時間くらい時間をつぶしてからおいで」みたいなこと言われた。現地の人の言ってることはぜんぜんわからないんだけど、ニュアンスはだいたい合ってると思う。人間同士、ことばなんて通じなくてもコミュニケーションはとれるようにできてるんだ。

 1時間くらいしてまた行くと、さっきのおにいちゃんがぼくのことを覚えてくれてて「もういいよ」と言って通してくれた。カウンンターに行ってチケットを見せる。よく見ると、カウンター係のおねえさん、Saigonホテルの受付のおねえさんにそっくり。ヴェトナム人女性の典型的なお顔立ちなのか?ちょっと室井滋入った顔してる。
 「荷物は?」と聞かれ「この2つ」と差し出す。でも、「これじゃだめ。ちゃんとセーフティチェックを通らないと」とべらべらのついた機械を指さしながら言われた。あ、そうかと思いべらべら機へ。荷物は難なく通過し、ぺたっとシールをはられた。再びカウンター行くが、混んでてしばらく待たされた。やっと空いて、「ねえ、おねえさん」と荷物を差し出す。今度はOK。うまくいった。でも、この荷物、フエでちゃん出てくるかなあ。…。
 でもちょっと気になるのが、この飛行機、VN248便。行き先が、ハノイになってる。いいのかなあ。フエ行きのは違うフライトナンバーになってるし。まあ、たぶん大丈夫なんだろう。外は3日前と同じように雨。売店をのぞいたり、テレビを見たりしながら待合い室で時間を過ごす。テレビではサッカー中継をやってた。競技場の様子も雨だった。でも、プレーはあんまりうまくなかったみたい。Jリーグの方が、ほんの少しだけましだった。
 乗り込んだ飛行機は小型機だった。乗客はだいたい6、70人くらいか。プロペラがついてた。ぼくの横に乗ったのは、外国人(つまり、非ヴェトナム人)のビジネスマン風の人だった。それにしても、飛行機はたいくつだ。たまたま窓際の席だったからよかったようなものの、外を見る以外まったく何もすることがない。この前は久しぶりの飛行機だったから興奮しててひまにならなかったが、たびたび乗ると、ほんとおもしろくない。晴れてて高度が低いといろいろ見えるんだが、雲の中とか雲の上に出て出てしまうと、もう…寝るしかない。
  この飛行機に乗ってて気づいたことなんだが、下の方、山と河ばっかりで、たまに集落みたいなのが見えた。これ、カンボジアとラオスの上だったんですね。ああ、こんなとこに行ってみたいなあと、ちよっとだけ思ったんだけど…。
 ぼやっと考えごとをしているうちに、飛行機はいきなり旋回して海の上に出た。やっぱり海は青い。河はどれもまっ茶っ茶なのに。いったいどこから青くなるんだろう。不思議だ。海を見て、なんとなく「ああ、もうすぐフエなんだなあ」と思った。

 そうこうしている間に、飛行機はフエの空港へ着陸した。そういえばタンソンニャトの空港は牧場だった。そして、フエの空港はというと…。

 ただの広場だった。


第三章 その3へ続く
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