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98年冬物語 vol.12 BY 菊正敏 |
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水は出ないが、朝からラーメンだ! |
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6時過ぎに下に降りると、老夫婦はすでに起きていた。今日も私の「シンチャオ!」に二人の笑顔が返ってきた。洗面所で顔を洗うが、チョロチョロ水。それから私は、朝、必ずといっていいほどお尻が反応するのだ。洗面所のとなりにはトイレがある。一瞬迷うトイレの向き。鼻をつく匂いがまだ眠っている身体を刺激した!なんと前の人の“忘れ物“がベットリついているではないか!水で洗い流そうとしたが水は出ない。オイオイオイ!
仕方がないので連結した前の車両のトイレに入る。まず、水を確認。勢いはないがシャーと流れた。「おっ、大丈夫だな。何とかなるベ」やっとゆっくりすることができた。この列草のトイレは大・小ともに“直かまき”方式。懐かしさと私のモノのいく末を思えば心が熱くなった。 「あ〜あ、後7時間くらいだ…」と思っていると、朝の食事が配られた。インスタントラーメンの登場だ。この時はまだ麺と野菜が入っているだけ。スープは?と思っていると、すぐ後からポリバケツがやってきて、おじさんが一人一人の弁等箱に白い湯気の出た熱いスープを注いでいった。まさにベトナム版元祖「チキンラーメン」。結構うまい。もちろん水やウエハース付きである。 30分くらいして今度は車内販売のコーヒーを注文。ポットから紙コップにコーヒーが注がれると香りが草内に広がる。一杯2000ドン。老夫婦も二人で仲良く飲んでいた。やっぱり朝のコヒーはうまい! 天気は快晴で、窓から入ってくる風も気持ちがいい。列草の進行方向の左側には青い海岸線が、右側には荒々しい岩肌の岩山がずーっと続く。次から次に変わっていく風景に時間がたつのも忘れるほどだ。平地には緑色に映える水田や刈り取ったばかりの田が現れ、ぶどう畑にさとうきび畑、丘陵にはゴム園が見えてくる。1年に2〜3回米の取れる地方に入ってきた。だんだん南にきているのが実感される。 老夫婦とは相変わらずジェスチャーでの会話だが、お互いかなり通じていると思う。2日間の旅で親しくなった車掌さんも一緒に仲間に入る。車掌さんの片言の英語で、通訳もしてもらったりと、最後はみんなで写真を写したり、楽しい時を過ごした。この老夫婦、二人とも80才といっていたが、おじいさんの方はどう見ても60代に感じるくらい若々しかった。 田畑しか見えなかった景色に人家が増え始める。ホ一チミンは近い。民家のひさしに触れんばかりに列車は走る。午後1時30分、列車は予定より50分ほど遅れてホーチミン駅に滑りこんだ。 |
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