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98年冬物語 vol.8 BY 菊正敏 |
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母親は一気飲み! でも音楽がうるさいのだ! |
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偶然ベトナム人の結婚披露宴に出席することができた。「子どもの家」を訪問した日の夕方、事務所に行くと、小山さんが「明日、昼からベトナム人の女性スタッフの結婚披露宴があるけど、出席しませんか?うちの日本人スタッフが一人出席できなくなったから」「え一、いいんですか」「全然間題ないよ、近所の人も自由にくるから大丈夫」。「う、じゃぁ、お願いします。でも背広・ネクタイはいいのですか」「なんともないよ。普段着でOK!」。 次の日、手ぶらでいくのも失礼かと思い、ドクター・スワン宅を訪れた際、「結婚披露宴に花束を持っていきたいけど、どんな種類の花をいくら程度持っていけばいいのですか」と間いてみた。スワン先生は親切に「ベトナムではバラが好まれ、それも赤や黄色が喜ばれる。白はだめだよ。お葬式だ。」「まあ、5〜10ドルくらいで大丈夫だと思うけど…。」このアドバイスが後で生きた。 事務所の日本人女性スタッフは、鮮やかなグリーンのベトナムの民族衣装「アオザイ」を着ていた。「アオザイ」のアオは上衣、ザイは長い、つまり長い衣いう意昧で、この「アオザイ」個人的には白が好きだが、これは何も私だけに限ったことではなく、ベトナム人の男性もそうだし、何と小山さんもそうらしい。30ヵ所以上採寸するので身体にびったりで何と下着も透けて見える。もちろん透けて見えるといっても、スリットになっている横の部分だけだが…。まあ、こういう話になると尽きないのでこの辺で披露宴の話に戻そう。 タクシーが大通りから路地に入ると、アオザイを着た女性や近所の大人や子ども達が花嫁の家の入口付近を取り巻いている。我々が到着すると綺麗に着飾ったアオザイ姿の花嫁とスーツ姿の花婿が出迎えてくれた。さっそくワイフが買ったばかりのバラの花束を渡す。彼女は大変気に入ってくれたようでだ。彼女は披露宴の最後まで手に持っていてくれた。花束の色合がまた鮮やかで、花嫁の衣装にぴったり! 花束がすばらしく生かされ、我々は内心鼻高々であった。道路に面した2つの部屋は出席者で一杯で、庭先にもテーブルが並べられている。女性のほとんどはアオザイ姿。さすがに白はいない。ワイフはアオザイではないが、昨年ダナンで求めたシルクのチャイナブラウス。全く間題ない。男性はネクタイ姿からネクタイなしの半袖のYシャツまでさまざま。私は黄色のポロシャツ。これまた問題無し。 テーブルはビールやベトナム焼酎、そして次々運ぱれる運ばれるご馳走でまもなくいっぱいになる。媒酌人らしき人が簡単な挨拶をし、すぐ花嫁の親族が挨拶をして、後は飲めや食えや果ては歌えやの世界。ところで我々は部屋のコーナー側のテーブルに座ったのだが、すぐ上の壁には大きなスピーカーがある。超ドルビー音のエレクトーン演奏ががんがんくるのだ。これには小山さんも閉口。「何とかボリユーム下げられないかなぁ、ベトナムはタクシーにのってもとにかく最大のボリユームで音をだすからまいりますよ…」とこれまた負けずに大きな声で私に話しかる。もちろん声は音楽で打ち消されてはいるが…。それでも次から次に食物が登場し、ビールは隣のベトナム男性がこの飛び入りの変な日本人にどんどんついでくれる。この時もビールコップには氷が入っている。ベトナムでは外国人相手のレストランを除けば、たいがい氷の入ったビールが一般的である。しかし、小山さん曰く「この氷が危ない」と。つまりきちんと蒸留した水で造っているのか、水道の水で造っているのかが問題である。ベトナムの水道の水は危ないのである。日本人ならすぐお腹をこわすだろう。花嫁のお母さんがお酒をついで歩き、時折出席者に勧められ、なんと「一気飲み」をするのだ。お母さんがだ!信じられない光景にしばし唖然とする。その間にもカラオケが始まり日本同様“カラオケの達人たち”が自慢のノドを披露し大きな喝采を浴びる。しかし耳につんざく音にはまいる。出席者の中にはフエの共産党関係者もいるらしい。フエ市長も小山さんと飲みかわしていた。花婿さんは市庁関係にお勤めのようだ。 しかし、本当に片苦しさのない和気藹々の披露宴で、結婚披露宴の原点を垣問見た感じがした。約1時間くらいたった12時半すぎ、何人かが帰り始め、我々もそれに続いて席を立った。小山さんの話ではこれから仕事にいく人が多いからだという。「えっ、みんな顔真っ赤だよ…」。市長をはじめみんな真っ赤な顔でバイクにまたがり帰ったらしい。う〜ん、信じられん! 後日談だが、夜の部の披露宴にはドクタ・スワンが招待され出席していたという。なんと奇遇な!花嫁側の関係だそうだ。 |
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