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98年冬物語 vol.3 BY 菊正敏 |
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子ども達はにこやかな様子で我々に気軽に「ハロー」と声を掛けてくれる。部屋で勉強をしている子、絵を書いている子、廊下や何と部屋のなかでゴムとびをして遊んでいる子ども達。表情は屈託がなく明るい。昼食ができるまで子ども達と遊んでやってください、という言葉に甘えて我々も“本格的”に彼らに中に入っていった。 私の持っている液晶ビジョンつきのビデオに興昧を持って、ずっと私のそばを離れない子や、とにかくオレを写してくれと何度も何度も格闘技のポーズをとる子、私がしゃがむとすかさず肩車してくる子、両手を持ってグルグル回転させると、それをまたやってくれとせがんでくる子、私と競争しようと何度もヨーイ・ドンを要求してくる子などなど、とにかく元気な子ども達が多い。また自分の書いた絵を持ってきて「あなたにあげる」、と我々にクレヨンで描いた絵くれる。実に人懐っこく懐に飛び込んできてくれた。 子ども達はやはり子ども。愛に飢えていたもだろう。つらい状況の中、親達に捨てられた子ども達もいる。それにしても「子どもの家」にきて確実に表情が変わっている。特にケンカが挨拶代わりだった一香のやんちや坊主(TV人間劇場に登場)がまるで人が変わったように小山さんにベタベタくっついていたのには驚いた。私が肩車したのもその子でもある。愛は人をかえたのだ。 昼頃太鼓がドンドンと鳴った。昼食の合図である。その頃学校から午前の部を終えてきた子ども達が「子どもの家」に帰ってきた。突然きた見知らぬ訪間客にも挨拶をし、食堂へ向う。さっきまで一緒に遊んだ子どもた達数人が私やワイフの手を引いて食堂へ案内してくれた。それも「早く行こう、行こう」という感じで…。食堂といっても調理場と簡単な仕切りがあるだけのコンクリートの部屋だ。子ども達が手際よくテーブルやイスを並べ、食器や大きなボールに入ったご飯や、野菜スープのはいった大鍋を運んできた。ここのイスは日本でいえばちようど風呂屋のイスと同じで、テーブルもコタツのの高さである。しかしベトナムの路上の食堂ではごく当たり前の椅子やテーブルである。メニューはインディカ米の炊きたてご飯に野菜スープ、魚の煮付け、漬物である。テーブルには7〜8人くらい座り、そろった順に食べていく。みんな楽しそうに食事を始める。子ども達がちゃんと私の分を取ってくれる。また野菜スープがおいしかったので、私がおかわりしようとすると、隣の男の子がすっとスープ椀をとり、ひっくりかえした箸で、まず葉っぱのような野菜の入ったスープを笑顔で私に注いでくれた。また、ご飯も途中で入れてくれたり、潰物をご飯のうえに置いてくれたり、もちろん箸を引っ繰り返して…。そして最後には蒸留した水をコップに入れて私のとろまで運んでくれたり。それがすごく自然体でとても印象的だった。今の日本ではこういうごとはおそらく無理かな?そして食事も残すだろう。ご飯を炊いた釜のコゲきれいにたいらげているいる子が何人かいた。でもこれは本当においしいのだ。私もよくほおばった幼き日の記億がよみがえってきた。早速さっきの隣の子が手のひらくらいのコゲを私に持ってきてくれた。 |
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